もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
けど、それはバイト熱心だからとか、責任感があるとかいった理由じゃない。
単純に私からの条件を守ってもらうため。
そのために、私はこの体をいくらだって売り物にできる。
「さっき女から名前を呼ばれたでしょ?その声の主が例の女じゃないの?」
「そうだけど、これ、何?」
腕と腕が絡まりあっている箇所に、ジュンは視線を落とす。
「これくらいしたほうが、向こうも諦めるんじゃないの?嫌ならやめるけど」
「そこまで、考えてなかった」
「離す?どうする?」
「このままでいい。それより、よく声だけでわかったな?」
「何が?」
「美織(ミオリ)のこと」
あぁー、女の話か。
「女の勘よ」
「へぇ~」
長年女をやっているせいか、周りに恋する乙女って奴が多いせいか、その類の勘は鋭くなったと思う。
私にとっては、あまり使い道のない勘だけど……