もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「ジュン、女か?」
「誰だよ?!それ?」
「制服着てるし」
相変わらず、沢山の声が飛び交う中、ジュンはその声を無視するかのように前だけを見据えて歩き続ける。
きっと、ジュンが向かっているのは一番奥にいる集団だろう。
人数も一番多いし、なんだか偉そうなオーラを醸し出している。
今、横切っているバーベキューグループは下っぱで、一番奥がボスといった感じに見える。
この集団がどんな集まりなのかは全然わからないんだけど……
「ジュン君!!ちょっと待って!!」
周りの状況を読んだり、分析したりするのは、私の癖。
こんなことが癖だなんて、聞いたこともないし、誰かに話したことはないけど、考えようとしなくても、自然にそういう事を考えちゃうから、たぶん癖なんだと思う。
そんなふうに、勝手に分析めいたことをやっていると、可愛らしい声が聞こえた。
突然、背後から掛けられた声にジュンは足を止める。
そうすると、腕を絡めている私の足も止まることになる。
この声は例の女だ。
私はより一層体をジュンのほうへと密着させ、振り返った。