もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「おい」
あぁ、お腹が減った。
早く食べ物に有り付きたいなと、辺りをキョロキョロと見回していると、不機嫌そうな声が耳に届く。
女に纏わりつかれて、鬱陶しいのはわかるけど、私にまでそんなトーンで話し掛けないでほしい。
私は協力者なんだから。
「おい。聞いてんのか?」
「何よ?」
「あれはなんだ?」
「あれって?それより、お腹ペコペコなんだけど。早く何か食べさせて」
そう言いながら、絡めたままの手に力を入れた。
方向転換をして、女に引き止められる前に向かっていた場所に行こうと思って、ジュンの腕を引っ張った。
そこに行けば肉が食べれるはず。
けれど、力を入れたところでジュンの体はピクリとも動かない。
「説明しろよ」
「何をよ!!それより、肉!!」
「はっ?肉?」
コイツ……もしかして、私に肉を食べさせない気?
用が済んだから、“はい、さようなら”なんてこと……
有り得ないとは言いきれない。
契約を交わしたといっても所詮は口約束。