もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「肉ってなんだよ?」
やっぱり、見ず知らずの人間との口約束なんて信用するべきじゃなかった。
居場所の人達とだって、初めての日は念には念をいれていた。
勿論、はなっから信用なんてしていない。
金を払わずに逃げた男も、事が済めば消えてしまう男も、現にいたから……
でも、なんとなく……
“勘”みたいなもので、ジュンは信用出来るって思ってしまっていた。
居場所の人達よりも、年齢が近そうだったからなのかな。
「朝まで居るのと、食事の約束したでしょ?」
ジュンに裏切られたからといって、罵倒したり、問い詰めたりなんかはしない。
そんなことをするのは、前提に“信用してる”って感情があるときだから。
なんとなく信用してはいたものの、裏切られた感に苛まれるほどはジュンを信用してはいない。
「だから、なんだよ?約束と肉って関係あんのか?」
もう、話をするのも面倒くさい。
けれど、話さない限りジュンは諦めてくれなさそうだし。
大きく息を吐き、気力を振り絞って言葉を続けた。