もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
海風と気温
砂浜の上に押し倒された私に、ナイフを振りかざすジュン。
ジュンはやっぱり私を殺すんだ。
押し倒された衝撃からか、背中が痛い。
私に向かって垂直に振り下ろされたナイフがキラリと光ったのを最後に、思い切り目を瞑った。
私が見る景色もこれが最後か……
「……い、……お……」
あれ?
まだ、ナイフは刺されていない?
ジュンの声が聞こえる。
「おい!!」
やっぱり、ジュンの声だ。
私はよくわからない状況に混乱しながら、ゆっくりと目を開けた。
「おい。大丈夫か?」
「はっ?」
大丈夫か?って、アンタが殺そうとしてたんでしょ?
意味のわからないジュンから、ゆっくりと視線を逸らすと、私の視界には天上がうつる。