もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「寒いから着ろって!!」
「いらない」
そんなやり取りを繰り返しながら、バイクまで歩いた私は結局パーカーを羽織ることはなかった。
……けど、寒過ぎる。
拉致られていることさえ忘れるくらい心地よかった風が、今は全身に突き刺さる。
制服はまだ長袖だけど、この寒さに耐えられそうにない。
パーカーが汚いとか、そんなこと言ってられないし。
生まれた時から、この地に住んでいるのに、昼間が大丈夫だったから、夜も……
なんて、馬鹿なことを考えた私が悪い。
けど、悪いから我慢しようなんて思えるような寒さじゃないから、大声で
「止めて!!」
と叫んだ。