もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
無意識に掴んでいたジュンのパーカー。
今は“汚い”なんて感覚はまったくない。
あれだけ言い張った自分が恥ずかしくて、俯きながらパーカーから手を離すと、ジュンはさっとパーカーを脱ぎ、私に手渡してくれる。
「ありがとう」
小さな声でお礼を言ったけど、俯いたままの私はその言葉がジュンに届いたのかわからないまま、パーカーを羽織った。
「風邪引くから、フードも被っとけ」
そう言われて被せられたフードの上から、頭をポンポンとされた。
「行くぞ」
という言葉と共に、再び走りだすバイク。