もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
誰がディナーしたいなんて言ったのよ?
海で言ったのは、単なる嫌味。
そんなことにも気付かないで真に受けてるなんて馬鹿みたい。
「どこに行くんだよ?」
「繁華街」
腹が立って愚痴の一つや二つ言ってやりたかったけど、ジュンとここで喧嘩したって、なんの意味もない。
喧嘩をする気力が無駄なだけ。
「繁華街行ってどうすんだよ?居酒屋か?」
「いいから行って」
喧嘩する気はなくても、イライラしている私は敵意むき出しな言い方しかできない。
そんな私に、ジュンも苛立っているのか、返事もせずにバイクに跨り、すぐにエンジンをかけた。
先程まで温かかった背中が……
こんな気持ちになっても温かかく感じるなんて……
もう、今日限りジュンとは関わりたくない。
そう、心底思っていた。