もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「次の信号右!!」
「あっ?」
赤信号になれば声が届くと実証済みの私は、赤信号になるたびに目的地へと誘導する。
「右に曲がったら、ゆっくり走って!!」
返事はしてくれないけど、あきらかにバイクのスピードは落ちている。
先程までの運転が嘘のよう。
「ここ!!止めて!!」
「はっ?どういう意味だよ?」
「駐車場は裏だから」
私は、停車したバイクから降り、再びジュンを誘導する。
「おい!!どういうことだ?!」
「こんな所でギャアギャア喚かないで。恥ずかしい」
繁華街にはこんな時間にだって大勢の人がいる。
寧ろ、こんな時間だからこそ、人が多いんだ。
横目でチラチラと見られる好奇な視線にジュンも気付いたのか、大人しくバイクを停め、建物の中へと入った。