もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

ジュンは私の言葉に、益々機嫌を損ねたのか、何も答えてはくれない。



「せっかく、介抱してもらったのに、汚いなんて思って悪かったわよ」



「別に……それは」



「じゃあ、何でそんな顔してるわけ?まだ聞きたいことがあるなら答えるけど」



「いや、もういい」



ジュンは蹴り飛ばしたテーブルをもとの位置に戻し、再び煙草に火をつけた。



「もう、いいって……」



そんなふうに納得いかないまま、話を終わらせてしまうなら、始めから説明した意味なんてないんじゃないの?と思ってしまう。



人に説明を求めたからには、納得するまで話し合う義務がある。



納得してないのに、終わらせるなんていうジュンの行為は、私のしたことを無駄だったと言ってるのと同じ。



「悪い。説明しろって言っておいて、言葉が足りないな」



私って、思っていることが顔に出るタイプなのだろうか?



「俺が勘違いしてたんだ」



心の中で思っているだけなのに、ジュンが心の声に答えてくれることが多い気がする。



けど、今まで誰かに思ったことが顔に出ているなんて言われたことはないし、気のせいかな?

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