もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「あの……あれだ。するのかと思って」
「はっ?」
「勘違いだったけど、こんな所に来たら……そういうことをする場所だろうが。そう思ったって仕方ないだろ?!普通」
“普通”って言葉がいまいちピンとはこないけど、そういうもんなのかもしれない。
「それに、お前はこういうとこで、そういうことをいつもしてるんだろ?」
“そう”とか“こう”なんて使わないで、ラブホでやってるってハッキリ言えばいいのに。
そんな風に言われると腹が立つ。
「そんなに頑張って言い訳しなくていいよ。したいなら、する?」
灰皿に灰を落としていたジュンの手がピタリと止まった。
そして
「あっ?」
と、言う声と共に私に向けられた冷ややかな視線。
「冗談よ」
私は、その視線に耐えられずに目を逸らした。