もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


バイクに乗っていた時はあんなに居心地が良くて、ジュンの背中から離れられないでいたのに。



つくづく私も勝手だな。



私の話に一言


「わかった」


と呟いたジュンは、それから一言も発しなかった。



ラブホで何も喋らず、何もしない私達は、傍から見たら異様な光景。



朝日が街を照らし始めると、ジュンはテーブルに3万を置いて出て行った。



「いらない!!」


って声を掛けたけど、それにすら何も答えてくれない。



音を鳴らして閉まったドアが、私を寂しさの渦中へと引きずり込む。



とーちゃんが出ていってしまう、あの感覚。



味わいたくないための契約だったのにな。



やっぱり、1人でバイトをしたのがいけなかったんだ……



いつもと違う始まりなのに、バイトを引き受けたりしたから……



1人取り残されたラブホの室内で、今日の最悪な出来事について反省をしていた。



二度とこんなことが起こらないように。



“いつも”と違うことは、もう絶対にしないと心に誓った。

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