もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

本名と偽名


「おい!!話がある」


という言葉と同時に捕まれた腕。



「えっ?何?知り合い?」



「まぁ、そんなとこ」



捕まれた腕を振り払うことなく、そのままの状態で会話を続ける私は、まだ誰なのかってことは確認していない。



けど、この声は覚えた。



覚えたくて覚えたんじゃないけど、自然と私の記憶に染み付いた。



「友達?バイトの人?良かったら紹介してよ!!」



目をキラキラさせながら、空いている私の腕を掴んだ瑠伊。



タイプなんだな……



そう、きっとこの外見は瑠伊のタイプ。



軽そうな肌の色に……



あれ?



背も低いし、目だって二重じゃなかったはず。



なら、瑠伊のタイプではない?



「今度でいい?色々説明したいし」



瑠伊の耳元に近づき、なるべく小声でそう伝えると


「イケメンの独占はダメだよ。純麗が好きなら別だけど。その辺も含めて、ゆっくり聞かせて」
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