もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「もう話せんのか?」
「で、何?」
私は、瑠伊の背中が見えなくなったのを確認して、初めて“誰か”ってのを確認するために振り返った。
「立ち話でいいのか?」
「長いの?」
「わからない」
私の記憶が間違っていなかったことを証明するように、振り返った先にはジュンがいた。
話があるのは私ではなくてジュンなのに、話が長くなるかどうかわからないなんて……
なんだか、イライラする。
「あそこに入ろう」
よく、瑠伊と休憩に使うカフェを指差した。
ガラス張りの店内は、今私が立っている辺りがよく見える。
お茶をしながら、稼げそうな人を探せる、私達にとっては申し分のない場所だった。
「俺はどこでも」
もう既に感情が乱され始めてる。
そのことが一層私をイラつかせていた。