もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

さっきまでペラペラと喋っていたかと思えば、今度は黙り込んでいる。



訳の分かんない男だけど、“やけくそ”になっていた気持ちはいつの間にか消えていた。



「カラオケにしよっ!!カラオケ!!」



名案だとでも言いたげな態度にため息が出そう。



「行きたいの?」



「行きたい!!行きたい!!」



「じゃあ、一つだけ答えて」



「答える?何?そんな顔されたら怖いけどぉ」



私の顔は元々こういう顔です。



……というか、あんたみたいにコロコロと表情を変えたり出来ないから、怖く見えるだけ。



つまらなさそうとか無愛想って、よく言われてた。



「何?何?」



テーブルに身を乗り出す男。



真実を答えてくれる保障なんて何もない。



それでも私は、この男の口から聞きたかった。



「ナンパ?キャッチ?何目的?」



私の言葉に一瞬顔を強ばらせた気がしたけれど、男はすぐに


「なんだ!!そんなことかぁ」


と調子を取り戻した。
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