もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
そして、私の目を真っすぐに見ながら言葉を続ける。
「ナンパに近いけど、少し違う。うぅーん。説明とかって苦手なんだよね」
確かに苦手そう。
そう見えるのは馬鹿に見える外見のせい。
物事を順序だてて話すなんて、したことがないように見える。
「だいたいでいいわよ。きっと、なんとなくわかるから」
「それは有難い!!」
私も、自分の考えていることを説明するのは苦手だけど、わかりづらい説明を理解するのは得意。
とーちゃんの話は昔からわかりづらかったから、いつの間にか“得意”なんて言えちゃうようになっていた。
でも、とーちゃんがこの男みたいに馬鹿なわけではなく、とーちゃんは単語しか話さない。
用件だけを伝える。
そこに存在する、とーちゃんの思いなんてのは、一切説明されないから、私は言葉や表情からそれを理解していた。