もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

そして、私の目を真っすぐに見ながら言葉を続ける。



「ナンパに近いけど、少し違う。うぅーん。説明とかって苦手なんだよね」



確かに苦手そう。



そう見えるのは馬鹿に見える外見のせい。



物事を順序だてて話すなんて、したことがないように見える。



「だいたいでいいわよ。きっと、なんとなくわかるから」



「それは有難い!!」



私も、自分の考えていることを説明するのは苦手だけど、わかりづらい説明を理解するのは得意。



とーちゃんの話は昔からわかりづらかったから、いつの間にか“得意”なんて言えちゃうようになっていた。



でも、とーちゃんがこの男みたいに馬鹿なわけではなく、とーちゃんは単語しか話さない。



用件だけを伝える。



そこに存在する、とーちゃんの思いなんてのは、一切説明されないから、私は言葉や表情からそれを理解していた。

< 166 / 342 >

この作品をシェア

pagetop