もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「帰ってくる。俺の家はここだからな。けど、遅くなる日や朝が早い日も多くなる。だから、純麗が寂しくならないように持っていてくれ」
そう言っていたのに……
“帰ってくる”と言っていたのに……
この携帯が……
2人の関係を変えていった。
いや、切り裂いた。
その時に言われた約束。
「純麗。今から言うことは大切なことだから、ちゃんと覚えておけ」
「何?」
「もしも、俺の助けが必要になった時、」
この時は、なんとなくとーちゃんの話を聞いていた。
「携帯で“助けて”って言えない時は誰にも気付かれないように俺に電話をしろ。そして、ずっと通話中にしておくんだ」
とーちゃんは何言ってるんだろう?
って、なんとなく聞いていた話が、今役に立っている。
「で、純麗の居場所を伝えろ。その方法はその時に考えるんだ。わかったな?」
「う、うん」