もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「おい!待て、女」
やっぱり無理か……
男がリュウを睨んでいる隙に、こっそりと帰ろうと思ったんだけどな。
帰してくれるはずはないか。
それなら、一か八かするしかない。
この携帯の向こうに、とーちゃんが居てくれることを信じて。
「私は関係ないから帰してくれませんか?」
「あっ?」
そんな声出さなくてもいいのに。
マジで怖いし。
「私は今日ナンパされたの。この男に」
そう言ってリュウを指差すと、男の視線は私からリュウへと移った。
これで少しはやりやすい。
「地下の改札前わかります?あそこでナンパされてしつこいから、カラオケだけ付き合ったのね。そしたら、こんな状況」
まだ足りない。
「改札前から、15分も歩いた挙げ句これって……私、ついてないですよね?!ここのカラオケって安いから学生が多いでしょ。だから、10分も待たされちゃうし……しかも、フードメニューが高すぎ!!目の前にあったコンビニで何か買ってきたら良かった」
「ベラベラとうるせぇぞ」
まだ、足りない。