もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
その辺の探偵より
「怪我してないか?」
私を助手席に乗せてくれたとーちゃんは、運転席に乗り込みエンジンをかける前にタバコに火を点けた。
「大丈夫」
「そうか。家でいいんだろ?」
勿論、家に帰る。
これから、どこかに行こうなんて気にはなれないし、今日は早く眠ってしまいたい。
ただ……
こういう言い方をしたってことは、とーちゃんはきっと側には居てくれないんだな。
さっきの出来事は、非現実的なことで、こっちが私の現実。
私にかけられた魔法は、あまりにも簡単にとけてしまったことに落胆した。
コクリと私が頷くと、車は走りだした。