もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


とーちゃんの本名は山瀬智樹(ヤマセトモキ)。



だから山さんか……



私と2人きりでいることが殆どだから、とーちゃんが外でどう呼ばれ、何をしているかなんて、まったくわからない。



とーちゃんの風貌を見れば、大体の見当はつくけど……



それでも、やっぱり“山さん”なんて呼ばれると別人みたいに感じる。



私は何も知らないんだと思い知らされる。



「着いたぞ」



窓の外の景色を見ていたから、私にも着いたことはわかっていた。



けど、この車から降りたくなくて悪あがきをしてみる。



「純麗、俺は仕事が残ってるから今日は帰れない」



寝たふりしてるのに、喋ってるってことは起きてるってバレてる?!



バレていたとしても、目を開けたくない。



「上まで送ってく」

< 184 / 342 >

この作品をシェア

pagetop