もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
取り越し苦労
「はい」
重い扉を開けると、そこには鬱陶しいくらいの笑顔が……
「誰か確認してから開けようね。いつも言ってるでしょ」
なんて、私に説教をしながらホテル、すなわち私の自宅にずかずかと上がり込むリュウ。
ホテルの扉は割と重く出来ているけれど、私がここまで重く感じるのは気持ちの問題。
鬱陶しい、迷惑だ、来ないで欲しい、と思っているから、こんなふうに扉が重くなってしまってる。
けど、そう思いながらもこの扉を開くのは……
夜を1人で過ごさなくていいから。
体を差し出さなくても、朝まで居てくれるリュウの存在を心のどこかで喜んでいる。