もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

「そんな顔して何かあったか?」



「え?や、なにも、ない」



今どんな顔してた?



リュウの変わりに現われたとーちゃんが視界に入った瞬間、頭の中が真っ白になった。



「リュウとは仲良くしてるか?」



どんな顔をしてたのか気になるけど、考えたって思い出せるはずはないし、とーちゃんに聞くわけにもいかない。



「純麗」



「あっ……うん。仲良くってわけじゃないけど、嫌いじゃない」



「そうか。なら、良かった。いつまでも、そんなとこに立ってないで中に入るぞ」



とーちゃんは片手でネクタイを緩めながら、もう片方の手で私を呼ぶ。

< 201 / 342 >

この作品をシェア

pagetop