もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「そんな顔して何かあったか?」
「え?や、なにも、ない」
今どんな顔してた?
リュウの変わりに現われたとーちゃんが視界に入った瞬間、頭の中が真っ白になった。
「リュウとは仲良くしてるか?」
どんな顔をしてたのか気になるけど、考えたって思い出せるはずはないし、とーちゃんに聞くわけにもいかない。
「純麗」
「あっ……うん。仲良くってわけじゃないけど、嫌いじゃない」
「そうか。なら、良かった。いつまでも、そんなとこに立ってないで中に入るぞ」
とーちゃんは片手でネクタイを緩めながら、もう片方の手で私を呼ぶ。