もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
何を言われても
「そんなの知らない」
と、言い張るしかない。
咄嗟に言い訳も、上手い誤魔化しも思い浮かばない今、私の手段は“知らない”と貫き通すことのみ。
それなのに、膝がガクガクと震える。
喉がカラカラで声なんて出そうにない。
そんな私に気付いているのか、いないのか、とーちゃんは変わらないトーンで喋り続ける。
「カネは足りてるだろ?だから、バイトしてるのは、カネ目的ではないよな。繁華街に出入りしてるのは、そういう歳だもんな。俺もそんな頃があった」
優しい口調が余計に怖い。
ウリなんてやってる娘はいらないって、縁切られるのかな?
そしたら、私はどうやって生きていこう。
お金とか、そんなことはどうにでもなる。
そういう意味じゃなくて、この世界にたった1人になってしまうことに耐えられる自信なんてない。
……かといって、とーちゃんに見捨てられたからって、都合良く消えれるわけでもないし。