もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
違法なバイト
いつものようにとーちゃんに抱かれ、いつものように帰り支度をするとーちゃんを寝たふりをしながら見ていた。
私との時間を増やすって言っていたのに、やっぱり事を終えると行ってしまうんだ。
けど、今日はいつもみたいな寂しさは感じない。
この世にたった1人になったみたいに孤独だ、なんていう悲劇のヒロイン思考も働かない。
そもそも、この世にたった1人の孤独なんて、わからないのに……
音を立てて閉まった扉がもたらすのは、孤独じゃなく安堵感。
私はとーちゃんに抱かれながら、頭の中はさっきの話でいっぱいだった。
本当にバイトのことがバレていないか、そのことを確かめるようにとーちゃんの背中にしがみついていた。
バイトの内容がバレていたとしたら……
私を抱かない、もしくはその最中に何かが違うと感じると思う。
けど、とーちゃんはいつもとすべてが同じで、閉まった扉の音もいつも通りだった。