もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
声のするほうを確認する前に、
「いくら?」
と言葉は続けられた。
携帯をポケットに入れ、声のほうへと振り替えると、そこにはヨレヨレのスーツを着たおじさんが立っていた。
痩せているというよりは、痩けているせいで目がギョロッと私の瞳を捕える。
なんだか、おじさんの異様な雰囲気に鳥肌が立った。
スーツは着ているけど、働いてはいなさそう。
だって、ボサボサの髪の毛に無精髭。
スーツ以外は会社員に見えない風貌。
「ねぇねぇ、いくら?」
「何言ってんの?」
こんな時はとぼけるのが一番。
「だから、お姉ちゃんはいくらで相手してくれるわけ?」
ギラギラとした目が私を捕らえたまま離さない。
「何言ってるわけ?私は待ち合わせしてるだけだけど。勘違いか、人違いじゃない?」