もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
警察に連れていかれたら、どうなるのかな。
未成年だから、保護者を呼べとかって話になりそうだよな。
そしたら、とーちゃんに迷惑かけることになる……
バイトのことはなにがなんでもシラをきろう。
だって、とーちゃんにバレたら……
警察はもちろん怖いけど、とーちゃんにバレることのほうがよっぽど怖い。
とーちゃんに見捨てられることは何よりも怖い。
目の前で揉めている3人を眺めながら、ごちゃごちゃと考えていると……
「おぅ!!若造君。何してんだ?揉めてるなぁ~」
と、この場に相応しくない、ハイテンションな声がした。
声のするほうに目をやると、野次馬を掻き分け、私達の場所へとやってきた男。
「あっ、shotの店長さん……でしたよね?」
と、答えたのは警察官。
どう見てもハイテンション男のほうが若い気がするけど、男は警察官を“若造君”と呼んでいるし、警察官は男に敬語を使う。
「若いの、そんなに熱くなるな。おっさんも落ち着けよ」
そう言いながら、男がジュンの腕を掴んだ途端に全員の動きが止まった。
ジュンは腕を捕まれ、動けなくなっているけど、おじさんが動かなくなったのは……
男の目付き。
口角は上がっているのに、鋭い眼光を向けられたおじさんは一瞬にして動きを止めた。
私も、それを見ているだけで動けなくなる。
唾を飲み込むタイミングがわからなくなって、口の中いっぱいに唾液がたまる。
この人、とーちゃんに似てる。