もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「なんだ?反抗期か?若いっていいよなぁ~確かにお前の顔は亜美ちゃん似だな。目元なんかはそっくりだ。いや~懐かしい。アイツら最近全然顔出さなくてよ。遊びに来いって言っておけよ」
腕組しながら1人で喋り出す男。
ジュンは外方を向いてるというのに……
「そういや、何でこんなとこにいるんだ?ん?」
警察官、おじさん、私の順番で確認するように視線を移した男は警察官の近くに歩み寄った。
「コイツが何かしたのか?俺が保護者変わりに聞いてやる」
「あっ……はい。その方ではなくて、あちらの女の子とこちらの男性が揉めていると通報がありまして」
「で?」
ジュンに話すときとは違って、威圧感たっぷりの態度の男に警察官はおどおどしてる。
警察たるもの、そんなんでいいわけ?
「お二人に話を聞いている時に、こちらの彼が来まして……えっと、彼は女の子の知り合いみたいで、ですね。それで、女の子が売春をしていると、こちらの男性が言うので署までご同行頂いて、ゆっくりお話を伺おうと思いまして」
そこまで言い終えた警察官は額の汗を拭った。
「ジュン、あの子と知り合いか?」
「あぁ」
ハイテンション男の指差す先には勿論私。
「そんなことしてんのか?」
「してねぇ」
してるのに。
本当はそんなことしてるのに。
それは、ジュンだって知っているはずなのに、なんの戸惑いもなく嘘を吐いた。
庇ってもらってるんだから、感謝しなくちゃいけないんだろうけど、何かしっくりこない。
嘘を吐いているとは思えないような堂々たる態度に、何故だか寂しさと苛立ちを覚えた。