もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
読めない漢字
誰も喋ることはなく、ハイテンション男の店らしき所へと連れて来られた私とジュン。
警察官が店長なんて言っていたし、男の風貌からして、“店”とはキャバクラか何かと思っていたけど……違っていた。
「カウンターにでも座るか」
入ったその場所は洋食レストランだった。
外見はクラブっぽい雰囲気を醸し出しているのに、中に入るとお洒落で少し高級そうなレストラン。
店は開店しているため、何人かのお客さんがいた。
その人達に
「いらっしゃいませ」
「ごゆっくり」
と、声をかける男は全然ハイテンションじゃない。
私はジュンの少し後ろを歩きながら、キョロキョロと店内を見回していた。
レストランが珍しかったわけじゃなく、この店と男があまりにもミスマッチで、落ち着かない。
「晩飯食ったのか?」
私達がカウンターに座ると、男は私達の前に水の入ったグラスを置いた。
「食べてないけど、いらねぇ。もう、行くから」
私はそのグラスに手をかけ、一気に飲み干した。
ヒヤヒヤしたり、ハラハラしたり、ドキドキしたり、慌ただしかった数十分のせいで喉がカラカラだった。
「そんなこと言わねぇで、食ってけよ。それに……彼女は腹減ってるみたいだぞ」
ぷはぁ~生き返った。
飲み干した勢いのまま、グラスをテーブルに置いた。
「腹減ってんのか?」
「えっ?私?」
気付けば2人の視線は私へと向けられていた。