もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「瑠伊。聞こえなかった」
「しっ!!いたの」
体は私の方へと向いているけど、視線は先程入ってきたレジがある方へと向いている。
瑠伊の視線を辿ると、そこには、背の高い男が1人……
あれが、瑠伊のね。
一目見ただけで、瑠伊のタイプの男だとわかってしまうのは、今まで瑠伊お目当ての男を何人も見てきたから。
今回の男はまだ少しマシそうかな。
この店の制服なのか、白いシャツに黒いエプロンを身に付けている。
細身の体にはそれが良く似合っていた。
「で、もう話し掛けたの?」
「まだに決まってるじゃん!!やっと、居場所を突き止めたばかりなんだから」
私の言葉にやっと瑠伊の視線が私の元へと戻ってきた。
「そんなにガチガチになるほど、タイプなわけ?」
「今までで一番かも……」
今までで一番ね……
人数が多すぎて、数人の顔しか思い浮かばないや。
「お待たせしました」
瑠伊の緊張がだいぶ和らいだ所で、頼んでいたケーキセットが運ばれてきた。