もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「何も言えないってことは、図星なんじゃないの?」
「全然違うけど」
考えてやっと出てきた言葉が、それだけだから、我ながら情けない。
「何が違うのよ?」
「それくらいにしてくれ」
困り果てた私に助け船を出してくれたのはジュン。
少しだけ驚いた私はジュンのほうを見ると、表情は穏やかだった。
寧ろ、機嫌がいい?というような顔をしている。
私が余計なことを言わなかったからかな?
それとも、女の前だから?
「私はジュン君に聞いてない」
「俺達の問題で、美織には関係ないだろ?いい加減にしてくれ」
顔つきは穏やかでも、言っていることはきつい。
女は下唇を噛みしめ、私を睨み付けた。
逆恨み?
もし、本当に私とジュンが付き合っているなら、迷惑すぎる女だ。
こんな女、本当にいるんだなと関心さえしてしまう。
「ジュン君は知らないだろうけど、私知ってるのよ!!」
女は突然、テーブルに身を乗り出し怒鳴りだした。
「この女が何してるのか、ジュン君知ってる?体売ってるのよ。見ず知らずの男に、お金欲しさで体を差し出してるの。普通の子じゃないんだから!!ジュン君には似合わない。こんな女……女じゃないわよ。同じ女としてまとめられるのが嫌なくらい。人としても女としても最低な行為よ」
なんで?
なんで、そんなこと……
怒りで体が震えそうだった。
百歩譲って、この女の言ってることが正しいとしても、あんたにそんなことまで言われる筋合いはない。
てめぇは一体何様だよ?
……と、ぶちギレそうになった瞬間、隣に座っていたジュンがテーブルに身を乗り出し、静かに口を開いた。
「知ってる。知ってて付き合ってる」
「知ってるって……じゃあ、騙されてるのよ!!」
「騙されてない」