もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「おっかえり!!」
なんで?
なんで、こんなことに……
「純麗ちゃん、遅いよ!!待ちくたびれたって、さっき来たところなんだけどね。お腹すかない?俺、弁当買ってきた!!幕の内っての?何が入ってるのかわくわくするよね!!」
何故、あんたがここに当たり前のように居るんだよ。
「おーい。純麗ちゃん?」
「なんで?」
「ん?」
「なんで、居るわけ?」
犬みたいに私の回りをウロウロしながら、キラキラお目目を向けてくるリュウ。
「山さんから聞いてない?」
「聞いてる。リュウがここに来ることはね」
「ん?じゃあ、何が?」
首を傾げるリュウに本当に尻尾まで見えてきそうで、頭が痛い。
「なんで、あんたが中に入ってるわけ?」
「えっ?俺?」
自分に指を差し、顔を近付けてくるリュウをスルーして、部屋の中へと入った。
わたしとリュウ以外、この部屋にはいないのに“俺?”って何?
“俺”に決まってるけど!!
「純麗ちゃん~そんな他人行儀な。“あんた”なんて言うから、誰かと思ったし」
「他人でしょ?私とリュウは他人だけど」
「えっ?純麗ちゃん、他人行儀の意味わかってる?本当に他人だからって使う言葉じゃないんだよ。純麗ちゃんってクールな感じに見えるのに、意外とお馬鹿ちゃん?なんか、親近感沸く!!」
「そんなのわかってるし!!私をリュウと同類にしないで!!」
リュウと話してると、会話が進まなくて疲れる。
「そんな、カリカリしないでよ。ほら、合鍵持っちゃう仲なんだから」
やっぱりか……リュウが来るために、わざわざとーちゃんが鍵を開けて中に招きいれたとは思えないし……それでも、リュウが廊下じゃなくて、部屋の中で待ってたってことは、そういうことだよね。