もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
さくらんぼ
「いらっしゃいませ!!」
リュウと待ち合わせをしたカフェ、瑠伊といつも使っているカフェ。
このカフェの売りなのか、定員の声がやたらと大きい。
唯一、そのことが気にくわない。
だって、こんなに至近距離なのに、大声を出す理由は?
今日はいいけど、寝不足の時なんかは、頭がガンガンしてたまらない。
季節限定商品のモンブランカフェとやらを頼んで席に着いた。
“限定”と名の付くものに弱い私。
企業戦略とはわかっていても手を出してしまう。
お店的にはシメシメ的な商品を一口飲んでから、携帯を開いた。
待ち合わせ時間までは、まだ15分近くある。
リュウとの買い物が楽しみで、早く着いたわけではなくて、ただ単に学校が思ったよりも早く終わっただけ。
しかも、ここで待ち合わせをする意味なんて、全くなかったし。
瑠伊は今日も学校を休んだ。
だから、学校まで迎えに来て貰っても良かったな。
瑠伊が休んだからといって、何日も会っていないからといって、私達は……
いや、私はメールをすることはなかった。
瑠伊からは、何度か来たことはある。
でも、それは私を心配してとかじゃなくて、ただ単に1人でいるのが嫌なだけ。
携帯っていう便利なものがありながら、用件以外の連絡は取り合わない。
寧ろ、こんな便利なものがあるからこそわかってしまう。
お互いを心配なんてしてないってことを……