もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「純麗ちゃん?なんか、暗くない?やる気満々なの隠そうとしてる?」
だから、私は何に対してやる気満々なんだか……
「隠しても、無駄無駄。俺って昔から、人の気持ちを勘ぐるの得意なんだよね!」
「勘ぐるじゃなくて、察するじゃない?」
「えっ?そうなの?似たようなもんじゃん」
察してないと思う。
リュウはどちらかというとKYなんて呼ばれちゃう部類で、
K(空気)Y(読めない)というか
K(勘違い)Y(ヤロウ)って感じ。
こんなこと考えてるなんて、口がさけても言えないけどね。
思考回路がリュウと同じになってきたんだ、きっと。
リュウに侵され始めてる。
というか、もう末期かも。
リュウウィルスは進行が早いらしい。
「飲んだなら出よう」
季節限定商品を堪能した私達は店を出た。
「ち、ちょっと待って!」
店を出ると、スタスタと歩いて行ってしまうリュウ。
いつもは余計なことまで喋ってるのに、なんで無言?
この後の予定を聞きたいけど。
私の呼び掛けに振り向いたリュウは、
「何?」
と、機嫌が悪いような声を出す。
「これからどこ行くの?」
少しだけあいた二人の距離を縮めるために、私は小走りでリュウへと近づいた。
「えっ?なに?純麗ちゃん忘れたの?今日はお揃いのキーホルダー買いに行くって言ったよね?」
「それはわかってるけど」
「じゃあ、何?」
「い、いやさ……買いに行くって行っても……どの辺っていうか、店、うん。店、決まってたりするのかな?って思って」
こんなふうに機嫌が悪いというか、怒ってるリュウは初めてで、私はあからさまに動揺してしまった。
「店なら決まってる。着いてきて」