もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
どこまでも、思考が一緒らしいリュウに、返事をする気にもなれずに呆然としていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「また、来たのかよ」
「おう!俺がいないと寂しいだろ?」
「何が寂しいだよ。毎日毎日、そんな顔見てたら頭が可笑しくなりそうだ。他の店行け」
「他の店行けだと?!ここは誰が紹介してやったと思ってんだよ?今、ここで働けてるのは俺のお陰だろ?」
「ふざけんな。親父さんに見つかって働けなくなったから、俺が変わりに働いてやっただけだろ!嘘しか言わねぇ」
リュウと言い合いを始めた店員は……
私の存在に、まだ気づいていない。
この声を聞くと、この姿を見ると、胸がザワザワと音をたてるのは何故だろう。
「で、今日は何の用だよ?」
「お前に用があったわけじゃねぇよ。今日はデートなの!でぇ~と!」
そう言いながら、私の腕を引いたリュウ。
リュウの方へと体を傾けると、私の姿は店員の視界に入る。
そして、絡まる視線。
「ジュン……」