もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「返したかった物ってなんだよ?」
「お前に関係ない」
「関係なくないんだよ!」
「うるせぇな。俺が喋っていいのかわかんねぇから、そいつに聞けよ」
えっ?私?
2人の視線が私に向けられる。
「リュウには言えない」
「何で?純麗ちゃん?」
「とーちゃんと繋がってるから。リュウ、この話は後にして。それより、買い物は?」
「そうだった!コイツのせいで、せっかくの買い物を忘れるところだった。危ない、危ない」
「俺のせいかよ」って不機嫌に言い捨てたジュンを無視したリュウは、私の手を引き、店の奥へと足を進めた。
「どれにする?」
指紋一つ付いていない、ガラスケースに入れられたキーホルダーはどれも高そう。
「どれでもいい?」
きっと、こんなキーホルダーが数万円しちゃうんだと思うと、私には選べない。
「えっ?」
そんな私を見つめながら、リュウはすっとんきょうな声を出す。
「気に入ったのない?」
「そういうことになるかな。私はブランドとか興味ないし」
「そうなの?」
「うん。こんなものに高い金払う意味がわかんない」
「えっ?そうなの?女の子って、みんなブランドが好きだと思ってた!ビックリだ」
両手を上げて万歳のポーズをとるリュウが、なんのリアクションをしているのか、さっぱりわからない私は出口の方へと、体を回転させ、「帰ろう」と言おうとした。