もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
そんな自分にガッカリしながら、次はどんな言葉が続けられるのかと怯えていた。
すると、ため息混じりに
「いい加減にしてほしいのは俺のほうだ」
とジュンが口を開く。
「何が?」なんて心の中では思っていたけど、声に出ることはなく、私はただジュンの唇を見つめた。
声なんて出るはずがない。
また、ジュンの言葉に……
見たくない自分の醜い部分に気づいてしまうんじゃないかって、怯えているんだから。
「そういう経験がないだなんて思われてる俺の身にもなれ。しかも、あんな狼少年に“さくらんぼ少年”なんて言われて……心外だ」
別にいいと思う。
リュウのネーミングセンスはさておき、経験がなくたっていいと思う。
そんなに、頑張って否定しなくたって、私は軽蔑なんてしない。
寧ろ、珍しくていいじゃない!
人と違っていいと思う!
「うぜぇ」
「はっ?何が?」
やっと、出た声に安堵する。
……というよりは、話の流れ的にもう怯える必要はないとわかって安堵した。
「経験なくても大丈夫的な顔してんな!それこそ、狼少年の思う壺だ!!」
「ジュンって、人の心が読めるんだね」
「お前が始めてじゃないからだよ」
「……」
「こういうことになるの、お前が始めてじゃないから、どう思われてるのかわかる。リュウはこうやって遊んでんだよ」
「確かに……リュウならやりそう」
「やりそうじゃなくて、やってんだ。それで、俺はその被害者だ!わかったか?」
「うん」
「なら、二度とそんな顔するな!次、そんな顔したら試すからな。無理矢理にでも、わからせるからな」
言いたいことを言い終えたのか、ジュンまで私に背を向け、その場から立ち去ろうとする。