もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
画面には“透”の文字が……
「もしもし」
通話ボタンを押すと優しい声が聞こえてくる。
「どうしたの?珍しいね」
「今日会えないか?」
タイミングのいい誘い。
「朝まで?」
「勿論」
「なら、いいよ」
誰でも良いってわけではない。
私にだって気分ってものがあるし……
ただ、今日の気分に透(トオル)はピッタリだった。
迎えに来てもらえる時間を確認してから電話を切ると、瑠伊が立ち上がり
「今日は別々だね」
と笑顔を向ける。
「仕方ないよ」
「最近はこんなんばっかでつまんない!!」
ぷぅーと頬っぺたを膨らませながら、瑠伊は地上へと繋がる階段へと歩き始めた。