もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「ほら、早く出掛ける準備して!」
「は?」
「朝ごはんは食べる?いらないよね?お腹が空いたら、途中で何か食べよう」
「リュウ……何なの?話が見えない」
完璧に目が覚めてしまった私は、ベッドから降りた。
本当は二度寝したかった。
というか、いつもなら必ずしている二度寝。
私の至福の瞬間なのに……
「純麗ちゃん、取り敢えず急ごう!時間がないから」
「だから、どこに行くわけ?で、時間がないって何?」
寝起きは機嫌が悪いの。
二度寝出来なかったんだから尚更……
それなのに、意味不明のリュウ。
イライラは募るばかりだ。
「ジュンの所に決まってるじゃん!」
「はっ?」
「純麗ちゃん、まだ寝惚けてる?昨日のこと忘れちゃった?」
いや、覚えてはいるけど……
昨日の記憶を何度思い返してみても、ジュンの所へ行く約束なんてしていないはず……
「忘れちゃったなら、それでもいいから早く準備して!」
「昨日のことは覚えてるけど、そんな約束した?」
「約束ってわけじゃないけど……ジュンのとこに行く流れじゃん!」
「流れ?」
「だから~」
面倒くさそうに顔を歪ませるリュウ。
私が悪いのか?
「純麗ちゃんはジュンのことが好きでしょ?それなのに、妙な誤解のせいで、純麗ちゃんはジュンに別れを告げられた。だから、誤解を解きにいかなきゃ!ねっ?わかったでしょ?それなら、さっさと準備!準備!」
リュウは私の背中を押して、洗面所に押し込もうとする。