もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「ち、ちょっと待って!」
「まだ何かあるの?」
振り返った私に、あからさまに嫌そうな顔をするリュウ。
「私は好きな人いるし!」
「だから?」
「そ、それはジュンじゃなくて、別の人!」
なんだろう。
なんだか、リュウに言い訳をしているみたいに焦っている。
「ジュンのことはね、確かに好きかもしれない……でも、それは“恋”の“スキ”かはわからないじゃん!てか、“恋”の“スキ”ではない気がするし。私にはもっと昔から好きな人がいるの」
あたふたする私とは対照的に、物凄く落ち着いているリュウは
「知ってる。山さんでしょ?」
なんて、さらっと言ってのけた。
私が今まで隠してきた気持ちを……
誰にも言えなくて苦しかったことを……
こんなにもあっさりと、口にされた。
「……っ……うっ」
いつ気付いたの?
何で知ってるの?
混乱しきった頭では、何からどう聞いていいのかすらわからなく、変な声だけが出る羽目になってしまった。
「ん?」
そんな私を馬鹿にするかのように、リュウはやっぱり物凄く落ち着いていて、百面相になってそうな私の顔を見つめながら、優しく笑った。
「純麗ちゃん。照れなくても大丈夫。顔、赤すぎだよ」
「照れてなんかない」
「じゃあ、どうして?」
「わかんない」
「ん?何が?」
「全部わからない!自分が今、何を思ってるのかわかんない!リュウに聞きたいことも、言ってやりたいことも沢山あるはずなのに、全然わかんない。ただ、恥ずかしいとか照れてるって感情がないことはわかる」
一気に喋り終えると、息があがってしまって、肩を上下に揺らさなければ呼吸が出来ない。
情けない……