もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「ゆっくりでいいよ。何でも聞くし、何でも答えるから」
さっきは時間がないと騒いでいたのに、もうその事は諦めたのか、リュウはソファーにだらしなく腰掛けた。
「えっ……と。リュウは何で知ってるの?」
「純麗ちゃんが山さんを好きってこと?」
そうやって簡単に口にしないで!って怒鳴りたい気持ちを飲み込んだ。
だって、私が感情的になってしまえるような雰囲気ではない。
リュウはこんなにも落ち着いているのに、自分だけ取り乱すような恥ずかしい真似はしたくないから。
「そ、そう。私は一応、必死に隠してきたの。なのに……」
「あぁ、なんだ。純麗ちゃんを見てれば、そんなこと誰でもわかるよ」
「えっ?私?だ、だって、とーちゃんと私が一緒にいる所なんて何回かしか見たことないのに?」
「あーそうじゃなくて」
「何?」
そうじゃないなら、なんなのかってことを、さっさと喋って欲しい。
聞きたいことが聞けないって、ストレスがたまる。
リュウは私を弄んでいるのか、悠長に携帯をいじりだした。
「は?何?聞いてるんだけど?」
感情的になれない雰囲気とはわかっていても、もうそんなことは構っていられないほど、私の気持ちはぐちゃぐちゃになっていた。
「ちょっと待って。さくらんぼがさ、何か怒ってて……」
メールの返信をしているのか、ピコピコと携帯をいじると「これでよし」と再び私に視線を戻した。
「で?」
私はもう逃がさないためにも、さらに言葉を重ねる。
「もう~純麗ちゃんはせっかちだな。きちんと話すから心配しないで」
「じゃあ、さっさと話なさいよ!」
「いいね!そういうの。女王様キャラっていうの?なんか、興奮しちゃうかも」
「リュウ?いい加減にして。ふざけてないで、さっさと答えろ!」
「は、はい。ふざけてないんだけどな……でも、いいや。なんだか純麗ちゃん、怖いからね」
ボソボソと文句を言いながら、リュウは私の隣へと座り直した。