もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「純麗ちゃんって、何かあれば山さんのこと考えてるでしょ?それが顔に出てるっていうか……最初はなんとなくだったけど、最近は確信に変わったよね」
「言ってる意味がわからない」
確かに、誰かをとーちゃんと比べたり、何かあると、とーちゃんを思い出したりってことは多いけど……
「簡単に言えば、恋する乙女の顔をしてるの!」
「は?」
「恋する乙女わかんない?」
いや、そうじゃなくて……
私が恋する乙女?
違うか。
私が恋する乙女の顔をしてる?
そんなはずはない。
そういったことは、なるべく表情や態度に出さないようにしていた。
そうだよ!
学校では、何考えてるのかわからなくて近寄りがたいなんて言われてるし。
「恋する乙女の説明はちょっと後回しにするね」
「そうしてくれると有難い」
「なんて言うのかな~兎に角、純麗ちゃんはわかりやすいの!恋する乙女のことだけじゃなくても、その他諸々考えてることが見てればわかるタイプ?」
「ちょっと待って!」
「いや、わかるよ。こんなこと言われるのは始めてなんでしょ?」
「そう。わかってるじゃん」
「だから、言ってるじゃん!純麗ちゃんの考えてることはわかるんだって」
「……」
「でね、何でかって言うと……純麗ちゃんは今まで友達いないでしょ?このリュウ君が始めての友達ってわけで」
「そんな!……こと……」
瑠伊がいるから!って言おうと思ったけど、きっと違う。
リュウの言ってる友達の定義が、“女の子の友情”なら、瑠伊は当てはまらない。
瑠伊のことは好きだけど……所詮、無害だから一緒に居るとか、ウザくないから大丈夫とか、その程度の関係。
それに私達の間には金銭が絡んでいる。
これが無くなっても、瑠伊は私と一緒にいるか?と聞かれたら、口篭ってしまう。
だから、リュウの言うように、私にはリュウが始めての友達なんだろう。