もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「ん?話し進めていい?」
私が黙ったことに、ニヤリと笑みを浮かべるリュウが腹立たしい。
「いいけど」
「友達じゃなければわからないと思うんだ。純麗ちゃんは一見クールっていうか、近寄りがたい雰囲気を出してるから」
「……うん」
また、思っていたことを言い当てられた。
「でもね、友達になってみると違うってわかる。純麗ちゃんは、意外と単純だし、思ってることが表情に出る。ポーカーフェイスになりたいなら、俺を見習わなきゃ!」
突っ込みどころはあるけれど、ここは話を逸らさないために我慢しよう。
「だから、とーちゃんのことがわかったって言いたいのね?」
「うん。世間一般で言う禁断の愛って奴?まぁ、体の関係まであるから、近親そ……」
「はっ?何?なんで?」
百歩譲って、私は表情に出やすいから好きな人がバレたってことにしたって何?
なんで、そんなことまで知ってるわけ?
それも、顔に出てるってこと?
「そういうこと」
「はっ?」
「恋する乙女は、体関係があるかないかを見極めるのが一番簡単」
余りにも恥ずかしくて、リュウって意外と凄い奴なんじゃないかって思えてきた。
「だから、純麗ちゃんは必死にそのことを隠してきたんでしょ?」
「まぁ……」
「だって、近親そう……」
「言わなくていい!」
そんな風に言われたら、物凄く悪いことをしている気分になる。
「冗談だよ。でも、実際は血縁関係なんてないんだから、気にしなくてもいいじゃん」
「リュウが気にするような言い回しをしたんでしょ」
「確かにそうかも」
キャハハと馬鹿にしたような笑い声に、この時ばかりは救われた気がする。
笑い事にしてくれることで、この想いも笑い事になりそうで……
「でもね、純麗ちゃん?」
急に変わった声質に、緊張が走る。
リュウの真面目な顔は嫌い。
馬鹿面が、真面目になるなんて、よっぽどのことでしょ?
リュウがとる、話の間が物凄く長く感じて、私は耐えきれずに、ゴクリと唾を飲み込んだ。