もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


私を不安の渦へと落としたリュウは、その手で私を救いあげてくれた。



こんなリュウだけど……



今の私には力強い言葉だった。



「ありがと」



「やけに素直だね。純麗ちゃんは、そうやって素直なほうが可愛いよ」



言葉なんて簡単に偽ることができるってわかってる。



血が繋がっていたって、捨てられる人は沢山いる。



そんなこと、当たり前の世の中だってわかってるんだけど……



この言葉にすがりたかった。



他人のリュウを信じてるわけではないんだけど、今だけは“安心”という名の偽りが必要だった。



「さーて、っと!」



反動をつけて勢いよく立ち上がったリュウに、少し驚きながら、この話はやっと終わったんだと安心していると



「迷宮入りしそうだった謎も解けたわけだし、行きますか。って、純麗ちゃんはいつまでそんな格好してるわけ?早く出掛ける準備してよ!」



その、探偵キャラはまだ続行なんだ。



「どこに出掛けるわけ?そんな気分じゃないけど」



「えっ?ビックリだけど!さすがの名探偵リュウ様も、そんな展開だとは予想できなかった。純麗ちゃんって案外お馬鹿なのね。可愛い」



「はぁ~?!なんなの?そのキャラ、ウザいから、いい加減にしてよ!」



私はさすがに、ずっとこの状態でいるのが嫌で、立ち上がった。



今、着替えなきゃ、夜までこのままの姿でいそうだし。



そうなると、1日中ウダウダ余計なことを考えてしまいそう。



「最近の女子高生は自分が悪くても、逆ギレって手段に出るんですなぁ。名探偵にも、わからないことは山ほどあるもんじゃ」



その探偵キャラ、設定は何歳なの……?



「私が悪いって何よ?」



「自分の悪いところにも気づかぬなんて……トホホでございます」



完全にキャラ崩壊してる。

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