もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「どうして?そんなに凄い人なのに?なんでやめるの?あっ!怪我とか?」
怪我をして、選手生命が終わるなんて話は、よく耳にする。
「怪我はしてないし、理由も俺にはわからない。大学から推薦も来ていたみたいだけど、全部蹴ったって聞いた。今の大学は普通に受験して通ってる」
どうして?
どうして?
そんなに凄いものを持っていたのに、特別な世界にいたのに、何で自分からリタイアしちゃうの?
わからないことだらけだけど、リュウに「どうして?」と聞いたところで、私の欲しい返答はもらえないだろう。
「それで、水泳の先輩から誘われて、今はこのビーチでライフセーバーやってる」
リュウの言葉にハッと窓の外を見ると、車は既に目的地へと到着していた。