もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
私の気持ちを代弁してくれた、背後の男。
ジュンだってことはわかってる。
けど、ジュンだってことをわかりたくない。
わかってしまったら、私はどうすればいい?
ジュンに何を話して、どうやって誤解を解けばいい?
そもそも、誤解を解くのはなんのためだっけ?
「ん~わかった!名前なんて重要じゃないしね!それよりさ、もう一回呼んで!ほら、さっきの!ミ、キ、ヤ、く~んってやつ」
「そんな言い方してないし」
「そうだった?俺の耳にはそう聞こえたな~高校生に君付けで甘く囁かれたら、もう駄目だ。俺と付き合う?」
ここにも1人、リュウと同じ人種が居た。
そういえば、さっき、お互いのことをバカだって言い合ってたしな……
自分達のことはよくわかってるじゃん。
「ミキヤ。そいつはリュウのだ」
ミキヤ君のお陰で、一瞬忘れていたことが鮮明に蘇る。
ジュンの冷たい声によって。
「あっ!ジュンは誤解してるんだったな」
「はっ?」
「スミレちゃんはリュウ目当てなわけじゃないよ。なんかね~スミレちゃんのお父さんとリュウが知り合いらしい。で、二人は知り合ったらしいよ」
「……」
「スミレちゃんのお父さんも、リュウの親父さん関係なんじゃないの?リュウも詳しいことは話さなかったから」
「……なんだよ、それ」
私が説明する前に、ミキヤ君が全部話してくれた。
照り付ける太陽の下で、背中がゾクリとしてしまうほど冷たい声の次は、口を尖らせているような機嫌の悪い声。