もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


「はっ!?なに?どこ行くの?」



顔を隠したままのジュンは、私に背中を向け歩き出す。



「ち、ちょっと!ジュン!」



あり得ない。



何で、こんな男が好きなんだろう。



本当に本当にあり得ない。



返事が欲しいから告白したわけではないけど、寧ろ付き合いたいとか思ってる訳じゃないから、返事をされても困るけど……



だったら、告白なんてするなよって言われたらそれまでなんだけど。



でもさ、でも、普通何か言わない!?



逃げるなんて聞いたことある?



何か言って欲しかった。



もう少し、一緒に居たかったのに。



怒りは寂しさへと変わり、虚しさとなって私の胸に残る。



リュウもいないし、私はこんな所で何してるんだろう。



告白したことを、後悔しながら、来た道を戻った。



バス停とかって、どれくらい歩いたらあるんだろう。



右も左もわからない土地で、ただ闇雲に足を進めた。



誰かに連絡して迎えに来てもらうことも出来たけど、男と居たい気分ではないし、抱かれたい気分でもない。



“友達”がいない私には、条件なしに迎えに来てくれる人なんて存在しない。

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