もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


片側三車線の国道までは、なんとか辿り着いたけど、バス停らしきものは見当たらない。



タクシーで帰るしかないな。



所持金を確認するために足を止めて気付く。



私……タクシーの前にバスも乗れないじゃん。



だって、鞄がない。



鞄がないってことは、勿論お財布もなくて、お金もないってこと。



ホテルを出るとき、リュウと一緒だから、携帯しか持たなかった。



まさか、リュウがいなくなるなんて思ってなかったし、私が今置かれている、こんな状況になるなんてことは予想も出来なかった。



ここから歩いて帰れるはずはないし、携帯しかない私に選択肢はない。



誰かに迎えに着てもらおう。



男に会いたくないとか、抱かれたくないなんて言ってる場合じゃない。



携帯のアドレスを開き、車を持っていて、なるべく体を求めてこない人を探す。



「よし、コイツだ」



無料タクシーになる男を決めてから、もう一度だけリュウに電話をしてみる。



もしかして、出てくれるかもしれない。



そして、私をホテルまで……



そんな期待は発信ボタンを押した瞬間に打ち砕かれる。



「おかけになった番号は現在……」



電源切れてるし。


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