もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「ほら、ジュン。彼女を紹介して」
「あぁ、純麗」
「は、はじめまして、純麗です」
私は女の人に向かって深々と頭を下げた。
「私はジュンの母親です。はじめまして」
「お母様だったんですか」
「えっ?」
思っていたことが、思わず声になっていて、私の脳内パニックは増してゆく。
「い、いや。その、ち、違うんです。お母さんかお姉さんだなと思ってたんで、お母様なんだとわかっただけというか……ハハハッ」
明らかに可笑しい。
言ってることも、今の表情も、何で愛想笑いしてるのかもわからないし。
ジュンは顔を歪め、私を睨み付ける。
やっぱり、変なこと言ったよね!?
変な顔してるよね!?
笑うとこじゃないよね!?
「お姉さんはあり得ない歳だぞ」
「えっ!?そうなの!?申し訳ありません」
ジュンを見て、お母様を見て、頭を下げる。
何て落ち着きのない子なんだろうとか思われていそう。
「ふふっ。若く見られるのは嬉しい。でも、やっぱり童顔なのかな?」
お母様は可愛らしくジュンに向かって首を傾けた。
「そんなこと知らねぇよ」
「じゃあ、伸也さんに聞いてみよう」
お母様はテーブルに置いてある携帯に手を伸ばし、どこかへ電話をかけているっぽい。
「いつまで、突っ立ってんだよ」
「うん」
「そこ座れ」
ジュンが指差したのは、アジアン家具の用な茶色のソファーだった。