もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「答えろ。好きなんだよな?こんな俺でも、好きなんだよな?」
なんだろう。
今の言い方が、物凄く自分を卑下し、悲しい声に聞こえた。
好きと言ってくれと叫んでいるように聞こえる。
「……好き」
「なら、側にいろ。彼女になれ」
「いや、あのね、私!」
他にも気になる人がいるから、付き合うっていうのは出来ないって。
ジュンを好きって気付いたのも最近だし、きちんと気持ちの整理がついてから付き合いたいって。
付き合うとかじゃなくて、それまで、側にいたいんだけど、ダメかなって。
言おうと思って振り返った私の瞳には、たった一人、寂しそうに佇んでいるジュンの姿が写る。
その瞬間に、走り出していた。
ジュンと私にできた距離を埋めるために、私はジュンの胸の中へと飛び込んだ。
ジュンが私をどう思ってるのか聞いてないし、ていうか、態度だけ見たら好きとは到底思えないんだけど、それでも、背中に回された腕の温かさと力強さが好きの代わりだって思いたかった。
そもそも、私の気持ちはいいのかって話だけど、そんなことは、もうどうでもいいくらい、身体中が熱くなっていた。
要は、この場に流されたんだ。
ジュンの腰辺りに巻き付けていた腕を、スルリと滑らせ、首へと絡み付ける。
そして、精一杯の背伸びをして、ジュンの唇に近づいた。
幸い、私を屈むような形で抱き締めてくれているから、届きそう。
近づいたジュンの唇と、近づけた私の唇が触れるか触れないかの所で、勢いよく体を起こすジュン。
「待て」
「待てない」
「そういうつもりで来たわけじゃねぇ」