もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
さっき、リュウに感謝した気持ち返して欲しい。
怒りを通り越して泣きたくなってきた。
もう今後は2度とリュウになんか感謝はしませんと誓いながら、メイクをはじめた。
素直に言うことを聞くのは癪だけど、ノーメイクで連れ出されるのだけは避けたい。
こんなこと言ってる馬鹿でも、女心をわかっているのか、メイク道具一式を持ってきたことだけは良しとするけど、それ以外はホントにあり得ないことばっか。
「よくメイク道具持ってきたね」
「そりゃあね、常識!!」
服のことといい、確かにリュウは女のことをわかっている節がある。
お姉ちゃんでもいるのかな……
「ノーメイクってのは失礼に当たると思うよ。まぁ~純麗ちゃんは不細工ってわけじゃないけど、ノーメイクだと質素だしね!!常識を重んじる男ってやつ?!」
「私の顔が質素だから、失礼に当たるって言ってんの?」
そりゃ~そうかもしれないけど……
「あっ!!でも、今日はナチュラルメイクで宜しく」
無性に腹が立つ。
その腹いせにクラブに行くときのように、がっつりバッチリ、メイクしてやった。
どうだって言わんばかりに、シートに体を預け足なんて組んでみたけど、リュウはチラッと横目で私を見たっきり何も言わない。
完全にスルーする気かだ。
まぁ、いいんだけどね。
どこに行くかは知らないけど、この派手な化粧事態がリュウにとってはダメージでしょ?!
窓側に顔を向け、流れ行く景色を見ながらほくそ笑んでいたら
「純麗ちゃんって、やっぱり馬鹿だね。そこが可愛いけど」
なんて、攻撃してきた。
攻撃しちゃうってことは、やっぱりこの化粧は効果的だってことだよね。
「純麗ちゃん、着いたよ」
動いていた景色が止まったなと思っていた矢先、リュウが声をかけてきた。
リュウが全てを言い終わる前に振り返った筈なのに、そこにリュウの姿はない。
「えっ?!」
「何一人で喋ってるのぉ?早く降りてよ」
「あっ、うん」